2ペンスの希望

映画言論活動中です

和洋二本立て

かなり惨(むご)い二本立てを観た。
場所は神戸の映画館・イマドキ貴重な二本立て二番館。(名画座と呼ぶべきかもしれないが、ここはエールも込めて二番館と言っておきたい)
二本立ての場合、大半は洋画なら洋画で二本、邦画なら邦画のみで編成される。
しかし今回は違った。洋画と邦画それぞれ一本ずつのラインナップ。
かたやハリウッド製「クライムアクションコメディエンターテインメント」映画。邦画の方は「こちとら自腹じゃ!」がご自慢らしいI監督の銀行金塊強奪作戦モノ。チラシの惹句にはこうあった。「傑作エンターテインメント・ミステリー完全映画化」
ともに、リーダーの呼びかけで何人かのメンバーが集まり何重ものガードをかいくぐりながら大金・金塊を狙う強盗・強奪ものという趣向は同じだ。
趣向は同じだが出来の差は酷(ひど)かった。
かたやよく練られ丁寧な作りの一級品、かたや出来損ない眼も当てられない粗悪品。もっとも映画の感想・評価なんて人それぞれ。同じ映画だってその日の気分・体調によっても大きく変わる。当てに出来ないことは知れたこと。よって、どちらがどちらとは敢えて書かない。しかしである。
これって似たようなテーマだから並べただけの編成?それともガチンコ対決?
こんなに過激な土俵をしつらえたK支配人さん狙いは奈辺にあるのだろうか?一観客、一映画ファン、一映画館ファンとしては、見過ごせない興味を抱いてしまった。
題材は同じクライムストーリー、ともに人気スターを揃えたそれなりに豪華なキャスティング、舞台は巨大都市NYと大阪、ご当地ネタ、食い物の話題、ギャグ・ジョークもそれなりに(笑えるか笑えないかはそれぞれ微妙だが)。更に、人種問題、民族問題、富裕層と労働者、といった「骨太」(?)をあしらった作り(単なる娯楽映画ではありませんよという設(しつら)え?)加えて、一方に『ドーベルマン・ギャング』(1972年米国)への言及、もう一方には『ミニミニ大作戦』(1969年英国)が台詞に登場、などなど共通点は、たっぷりある。斉藤美奈子女史ではないが、「それってどうなのよ」
悪意はないのだろうが、作意はちらほら透けて見える。
プログラム編成は映画館支配人から投げかけられるメッセージ(思いがけない爆弾でもあり贈り物でもある)なのだ。侮(あなど)ることなかれ。常々やるやるとは聞いていたが、K支配人の選ぶラインナップこれから暫く眼が離せなくなりそうだ。
■当ブログでは、個別映画評はやらない。これが原則なのだが、今日は際きわ、はみ出してるかも知れない。それもこれも、映画館の企画に刺激を受けての「浮き足立ち」、がんばれ邦画(日本映画)との応援意識(もしかしたらK支配人さんも同じ気持ちかも)。これらからでたオーバーラン。容赦願う。