2ペンスの希望

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途方もないところで途方に暮れて

日本の映画は、途方もないところに来ている。そして、途方に暮れている。
そう書けば「それはお前だけの感慨だろう、映画は誰にでも作れるようになった、お金がなくても仲間がいなくても作れる、作りやすくなったじゃないか。劇場だってこの数年の興行成績は邦高洋低。邦画優勢、健闘している。劇映画だけでなくドキュメンタリー映画の劇場公開も増えたし、慶賀の至り。」 そんな声がすぐさま返ってきそうだが、
本当にそうだろうか。
安かろう悪かろうとは言わないが、お金や手間隙をかけたそれなりに練られた商品が
生まれにくくなっているのは不幸だ。すぐ作ってすぐ市場に出してすぐ忘れる(忘れられる)。安直・安易。
ダイソーは駄目だ、ユニクロが悪いと言っているんじゃない。むしろ素晴らしいと思うし、少なからずお世話にもなっている。しかし、世の中の洋服がユニクロだけになってしまったのでは堪らない。
数日前、ラジオでこんなことを言っていた。これまではアースカラー・自然色全盛だった傾向が最近少しだけ変わってきた。安物に飽きて上質指向が始まったということだ。
例に挙げられていたのは、ショッキングピンク安物は表層的で目立ちすぎる。それに較べて、本当に綺麗で深い風合いのショッキングピンクを出すには、それなりの技術・職人技が必要なのだ。そういう話だった。成る程なと思った。鮮やかな色味と風合いを出す為には練達の伎倆が求められる。 映画も同様だと思うが如何?