2ペンスの希望

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“村人”

昨日書いた岩田博さんの本『ひとり出版社「岩田書院」の舞台裏』に、思文閣出版の川島さんという出版人の発言が引用されていた。面白かったので勝手に孫引きさせてもらう。初出は「新文化」という出版業界紙1992年4月23日号の「当世専門書営業事情」。
のっけからスケールが小さい話題で恐縮だが、たとえば、小社[思文閣出版]のごとき版元の主力商品である日本史の研究論文集。A5判、400頁、上製本、 定価8000円。初版部数は1000〜1500部。日本の人口を約1億2000万人とすると、およそ10万人あたり1冊売れば、めでたく品切れとあいなるわけだ。“10万人の中の1人”である人々は、地域的にはバラバラに暮らしていても、同じ専門分野の“村人”であり、お互いの存在を多少なりとも意識しあっている。つまり、この村は、読み手であり、かつ書き手でもありうる人々から構成されているのだ。村の誰かが出した本を、同じ村の人達が買うことの繰り返し‥。
もう一箇所
この種の、論述と史料引用で全編が貫かれるような「学術書」は、ふつう快楽としての読書には適さない。主として著者と同じ専門領域で研究する人が、自分の業務上“使う本“なのである。その点では、むしろ「実用書」とか「学参」(学問参考書)などと呼ばれたほうがお似合いだ
“村人”、「学術専門書」≒「実用書」「学参」‥‥う〜む、「読書・本」⇒「映画」に換えて読み返したくなった。