2ペンスの希望

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足さない 盛らない

ゴテゴテ飾り立てながら、中身はスカスカ、上げ底、まがい物‥‥、そんな映画はごまんとある。飾り立てる方が容易だからだ。 足さない、盛らない映画は多くない。
余分なもの、不要なものを剥ぎ取っていくと、本体だけが残る。 本質が露わになる。
身も蓋もないスッポンポン、掛け値なしの正札商品、逃げ場のない真剣勝負。それは、居心地の良い場所とは限らない。人を安心させるのではなく、不安に陥れる。
お前は何をしている、何を見に来た、と問い質(問い糺)される。
台無しになることを厭わず、容赦もしない。そんな映画を観た。
(「台は仏像を安置する台座のことで、台座が無ければ仏像の威厳が無くなることから、 台無しは面目を失うことや、形をなさないことの意味になった」:ウエブ語源由来辞典)つまりは、面目やカッコ付けは避けるということか。
足さない、盛らない映画は、静かで激しい映画だった。