ブレディみかこさんの旧著『THIS IS JAPAN』が文庫本になっていた。
【2019.12.新潮文庫】イギリスでの暮らしぶりレポートも痛快だが、日本と日本人を見る目も冴えてる。
「はじめに」にこうあった。
「そこにあるものをあんまり見ていないようなところは昔から日本の人々にはあった。目をそらす、というほど意志的なものでもなく、もう本当にはなから目の前に明確にあるものが目に入っていないような感じである。」「はじめに」がもう少しだけ読める試し読みページがココに⇒
ブレイディみかこ 『THIS IS JAPAN―英国保育士が見た日本―』 | 新潮社
見て見ぬ振りならまだイイ。何とかなる。目をつぶって 大目に見て 見逃してやるんなら、どこかに後ろめたさ引け目が漂い、いつか気づくことがあるかもしれない。けど、目をあけてても何も見えていない 目に入らないのなら全くのゼロ。スルーされてお仕舞い。なにも起こらない。目をそらす、と意志的でないのがオソロシイ。
臭いものにふたならまだイイ。臭いっとニオイが分かってるんだから。けど嗅覚が壊れて臭わないならアウトだ。どうしようもない。
この日本人のアティチュード・メンタリティは、今に始まったもんじゃなかろう、という指摘は結構ヘヴィだ。ぞっとする。コタエル。
単行本刊行時期【2016.8.太田出版】に読んだ社会学者 岸政彦さんの本『断片的なものの社会学』【2015.5.朝日出版社】のことを思い出した。
岸さんはこう指摘していた。「誰にも隠されていないが、誰の目にも触れない」
我が国の新作映画がますます「おんぶにだっこ」の過剰サービス・説明過多になっていくのは、受け手の無感覚・想像力ゼロが進行してるせいならホントに情けない。泣くに泣けない。笑えもしない。