2ペンスの希望

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ハードル

1960年代生まれの監督さんによる日本映画をDVDで立て続けに観た。管理人が1948年生まれだからずっと若い、といっても50代だからそれなりの年恰好の方々だ。東京のTV局でキャリアを積んできた人、地方に居続けCMの世界で腕を磨いてきた人、自主独立で精力的に映画を作り続けている人‥歩んできた道はそれぞれだ。

思いかえせば、我々の時代は、大学を出て映画の世界に潜り込もうとしても、既に撮影所は斜陽化して門戸を閉ざしはじめ、ピンク映画かPR映画あたりしか人材を募集していなかった。もちろんTV局は元気が良かったが、とてもハードル高く、頭でっかち生意気盛りの映画好きは「けっ TVなんて!」とはなから馬鹿にしていた。(もっとも、受験したって受かりっこなかっただろう。)

観た映画は、いずれも映画雑誌の年間ベストテンに選ばれてきた「話題作」。どれも悪くはなかった。とはいえ、大絶賛 万々歳とまではいかない。「悪い映画じゃないけれど、もうひと踏ん張りして整理したうえでランクアップして欲しい」とか「ベタっちゃぁベタだが上手い。見せないで見せるという映画の技法は完全マスター。磨いた技はプロの仕事。気持ちイイ。」「凡作 冗漫、並製映画」と外野からの勝手な感想が日記に綴られている。

最近 ますます厚かましくなって、ハードルは高くなるばかりだ。ちょっと前にも書いたが再確認しておきたい。

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これまで見たことがない画を見せてくれる」(あー、こんな画面は見たことがないな。きっとこの画を撮りたかったんだろうなぁ、わかるわかる。)

見えないけど確かにあるものを見せてくれる」(そうだよなぁ、人間て根っこは優しいよなぁ、とか、社会ってホント厳しいよな、とかとか)

どこかでこのどちらかを求めている。自分のことは棚に上げて。まったく困ったものだ。