2ペンスの希望

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岡田さんの本をテキストに2

岡田秀則 本『映画という《物体X》』の昨日読んだ一節。
面白くない映画を我慢して見ることで人間は深みを増す、と書いたのは作家の田中小実昌である。映画鑑賞はとかく時間を食うが、人生は一度しかない。金を払ってつまらない映画を観ることは、できれば避けたい。もし映画が、食堂のようにサービスの後にお金を支払う場所だったとしたら、金銭授受をめぐるトラブルは格段に増えることだろう。自分の場合、貧乏性のせいか、途中で席を立つことは滅多にない。先に払ったからには、一応最後まで観たいとは思う。それで人間的に成長できたら、そんな有り難いことはないが‥‥。しかしこの言葉の持つ含蓄はもっと深いようだ。むしろ「すべての映画を見ることはできない」という厳然たる事実におののいた人間だけが口にできる、特別なセリフなのかも知れない。それは、クオリティを云々するまでもなく大量の映画がこの世に生まれ出ていること、そして、それが映画の本質であるという諦念を歓びとともに受け入れること、を意味するのではないか」「誤解されては困るのだが、「つまらない映画だって可愛いじゃないか」といった情緒を説いているのではない。面白かろうが、つまらなかろうが、どちらも〝映画〟であるからには絶対的に可愛いのだ。(中略)一つ一つの映画が面白いというより、〝映画〟と名づけられたこの体系全体に愛着を感じている。
難儀で因果、べらぼーなことだ。
もっともこの岡田文 ところどころに ? も浮かぶ。雑把で雑駁。 けど、他人事じゃない。
病膏肓に入る。
世界中のすべての本を読もうなんて妄想する人はいないだろうに‥ましてや集めようなんて。(もっとも 『バベルの図書館』を書いたボルヘスのような人もいるが…)