2ペンスの希望

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漫画化計画 本

勧められて『長嶋有漫画化計画』を読んだ。【光文社2012.3.刊】
ブルボン小林」名義で漫画評論も書く長嶋有さんが、自ら漫画雑誌の編集者となって自作の小説を15人に漫画化して貰った一冊。

特別参加の藤子不二雄Ⓐさんも含め、名前を知っていたり漫画を読んだことがある作者は、残念ながら5人だけだった。あとは初めて出会う人、それでも15本とも外れなしに読んだ。途中に挟まれた長嶋さんのコラム・ポイント解説も面白かった。
漫画の幅広さ」を一冊で示したくなったのだ。漫画雑誌も文芸誌も、ベテランや売れっ子から、知らない名前の新人まで同じ様に載る
読んでいて、これからの映画は、漫画のようになっていくのが理想モデルの一つかもしれないな、という思いが浮かんだ。
産業としても、表現としても、委縮の極み・貧血気味の昨今の日本の映画が、袋小路を抜けるヒントは、多様性、横並び、何でもあり、の漫画世界にあるのかもしれない。
もっとも漫画界もまた、紙媒体から電子媒体への移行転換の過度期にあるのだが‥。
紙とペンに電子技術が加わって開かれる新たな地平。そのポテンシャルを過小評価だけはしないでおきたい。
余談:長嶋有原作の映画化も幾つかある。何本かは見ている。ただ締まりのないゆるゆるだらだら映画より、漫画の方が数段切れ味よくシャープなのには参った。嘘だと思われる方はご自分でどうぞ現認・検分を。