2ペンスの希望

映画言論活動中です

粉と脂

最近の映画の悪口は一杯ある。
釘と接着剤で誤魔化したハリボテ映画、水っぽいお子様ランチ、歯応えのないウエハース映画、‥‥幾らでも出てくる。嫌になる。
漫画家でタレントの西原理恵子が対談で「安いもんは粉と脂で出来てますから。」と言ってるのを見つけた。【「ぶっちゃけガールズトーク角川書店PR誌「本の旅人」No.211 2013年5月号】オバちゃんパワーに絡んだ文脈での発言なので、映画とは無関係だ。それでも「成る程な。粉と脂か。そういえばイマドキの映画にも多く使われてるよなぁ」と思ってしまった。ハヤリ映画は、押しなべて粉っぽくて脂っこい。粉モンで腹持ちさせ、脂質で感覚を刺激する、手っ取り早い「安物」ばかりが目立つ。空腹はそれなりに満たされる。こってり脂が安直な満足を誘う。けどそれだけ。身体作りにはお薦めできない。とりわけ育ち盛りの十代には毒だ。
「粉」と「脂」で無闇な増量をしていない映画、「継ぎ手」と「仕口」のしっかりした映画、歯応えがあって噛めば噛むほど味が出てくる映画、そんな映画はどこかに行ってしまったのだろうか‥。