2ペンスの希望

映画言論活動中です

集団的想像力

不定期刊行のマガジン『砂漠Vol.3』に「NDS大放談 映画の作り方なんて教わってへん!」という面白い記事が載っている。【発行=2013年2月 砂漠 ¥500】
NDS中崎町ドキュメンタリースペースの略。元々は、NDU(日本ドキュメンタリストユニオン)の故布川徹郎さんの磁場・磁力から生まれた。大阪釜ケ崎に拠点を置き、独自な活動を続ける若いドキュメンタリー映像制作集団だ。場を共有しながらそれぞれ勝手に自分の映画・自分たちの映画を作っている。勝手に引用する。

佐藤零郎 僕ら布川の教え子みたいに言われるけど、実は違ってて結構それぞれでやってたりとかしてて。
張領太  布川さんは自分個人より集団が好きやって、自分個人の人格より集団でいるときの感覚のほうが好きだった。
佐藤零郎 集団的想像力の話しもしてたよな。場によって、場を作ることによって、そこで個人が持ってる想像力を超えたところで、新しい集団のなかでの想像力が生まれる。そこに自分個人以上の感覚が生まれるわけだから、集団や群れたりするのは大切や、集団を作るっていうのはそれだけで意味があるということも言ってましたよ。
金稔万  そういうやりかたを学んだな。非中心で、場の力に委ねるっていう、‥‥

集団的想像力」「非中心で、場の力に委ねる」いずれもドキュメンタリーの核心を射抜く重要な指摘だ。さすが布川徹郎、‥そう思って読んでいたら、NDSの若者たちはなかなかどうして‥‥鋭くしたたかに醒めていて面白かった。

張領太  十回に一回くらいいいことを言って、あとは混乱させて‥
佐藤零郎 打率低いよ。でもその一個がぐるぐる頭んなかでまわったりするんですよ。

ほんのちょっぴりだが双方を知る一人として思った。
NDSは紛れもなく良質なNDSの遺伝子を受け継ぐ者。素敵だ。