2ペンスの希望

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「成り行き」を大事に

最近読んだ映画本でダントツに面白かったのが『燃ゆる海峡 NDUと布川徹郎の映画/運動に向けて』【インパクト出版会2013年11月30日発行】だ。
出色は、井上修さんによる巻頭原稿《『鬼っ子戦う青年労働者の記録』から『出草之歌 台湾原原住民の吶喊――背山一戦』まで四四年とそれ以上、NDU日本ドキュメンタリストユニオンとはいったいなんなのだ?》と、自治体臨時職員石田みどりさんが書いた《「成り行き」を大事に》だ。2006年夏から2007年にかけての交流・交感を綴った一文。石田さんの文章の一部を引用させていただく。
布川さんはいつも「教育、啓蒙はダメ」ということ、「成り行きを大事にする」ということを言っていた。 ‥(中略)‥ 私は、歴史的・空間的に大きな問題意識を持ちながらも “いまここ” で関わっている人や場の具体性を出発点にしていくことが「成り行きを大事にする」ことなのだろうと理解した。
いまここ”と「成り行き」を大事にする。 この二つはドキュメンタリーの基本の基だ。いやドキュメンタリーなんてけち臭いことはいわない、すべての表現の原基だよ、諸君。この本の中で足立正生も書いている。 此処ではない何処か」などは無い、と。