2ペンスの希望

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映画本隆盛

キネマ旬報2014年4月下旬号(通巻1660号)で映画本大賞という記事を読んだ。
23人の選者が2013年に刊行された映画本からベストテンを選ぶ趣向だ。聞けば2004年から始まって今年で10周年を迎えるらしい。商業雑誌だから何をしようと勝手だ。しかしながら、だ。何でもかんでもランキングするのは如何なものかと思ってしまう。だって、すべての本を読んだ上で選んでいるのでは多分無いだろうから‥もし、いやオレは全部目を通した上で選んでいるという方がおられるのなら、先に謝っておく。下司ノ勘グリ、御免ナサイ。しかし自分が見聞した(見分、検分した)「狭い」範囲の中で選んでいるのだとすれば、ベストテンにさしたる意味は無い。読者諸氏はかなり割り引いて考えておく方が賢明だ。そうでなければ見誤る。
これは、映画本体の年間ベストテン選びも同様だ。年間600本に近く公開される日本映画【一般社団法人二本映画製作者連盟HPの統計に拠れば2013年の劇場公開本数は邦画591本洋画526本だそうだ】。その全部(とはいわないまでも大半)を見た上で選ぶのならまだしも‥半分も観ていないで選ぶベストテンに一体どれほどの意味と価値があるのだろうか。
もっとも、
分かりやすく(分かったつもりになれる)順位付けを求める世情・有り難がる風潮が背景にあることは知っているつもりだ。けど、ランキングを拒否する識者はいないのだろうか。選者に選ばれた嬉しさにシッポを振っているようなら心根がさもしすぎる。記事では、さらにご丁寧に「2013年読むべき映画本完全リスト」として110冊余りの映画本が順位付けされ並んでいる。ということは出版総数はもっともっと多いということだろう。
映画は、ますます、見るより読む時代、楽しむよりお勉強する時代になってきた、
ということか
。嘆息。
そういうお前さんはじゃあ読まないの、と訊かれれば、面目無い、一杯読んでいる。
もちろん玉石混交だが、面白いのも混じるのが、悩ましい。