2ペンスの希望

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映画の食べ方

山田宏一さんの新刊本『映画 果てしなきベスト・テン』【2013年5月草思社刊】を読んだ。無類の映画好き(今様淀長さん!)ベストテンなどそもそも無理な話、噴飯モノであることを十分承知した上で、それでも語りたくて語りたくて堪らない映画の魅力、しかるがゆえの「果てしなき」なのだろう。その想いが伝わってくる本だ。
中に、アンリ・ラングロワの言葉が載っていた。
映画を批評する連中などスノッブな美食家のように映画の食べかたを知らない。映画を試写会で見て、その評価を下すなんて、なんともいやらしい考えではないか。菓子店に入って、菓子を買って食べもせずに、じろじろ見るだけで、せいぜい試食用に無料で提供されたサンプルをあれこれつまみ食いする程度で品定めをするなんて!俺は次から次へと菓子を買って食べつくしてしまいたい。みんなうまそうに見えるし、事実、うまいにきまっているんだ
「映画の食べかた」という表現に惹かれた。
生憎とフランス語が出来ないので、原典にあるのか訳語なのか定かではないが、きっと原語がそうなってるのだろう。そう思わせる映画への愛情を感じた。