2ペンスの希望

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監督不行届

細野辰興監督(あの『シャブ極道』の監督さんだ!)がこんなことを書いている。
デジタルの普及で製作、監督、脚本、撮影、編集まで一人の人間がやってしまっている作品が増えている現在、監督の立場、役割を明確に定義することが困難になっていることは間違いない。企画、脚本、キャスティング、撮影現場、ポストプロの全行程を監督するのが映画監督の役割の筈だが、一人でやってしまうなら何も監督しなくても済んでしまうからだ。」【2012年度日本映画監督協会新人賞選考委員会報告=会報No.675号より一部抜粋】
確かに。
何も監督しない監督。やりたいようにやっているだけ。監督不行届。
それでもみんな監督と名乗りたいし、呼ばれたがる。ヘンな話だ。
それにしても、こう言ってはなんだが、監督協会の監督さんたち、チト暢気に過ぎるのではなかろうか。
日本映画がここまで駄目になったこの期に及んでいまさら「映画監督って何だろう?」と自問するナイーブさは、謙虚とか誠実とかを通り越して、痛々しく見えてくるのだが‥。
年端の行かないヨチヨチ歩き「素人の勘違い」と、いい歳した大人たち「玄人すじの自信喪失」、いずれも見苦しい。見っともないし見たくもない。