2ペンスの希望

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近頃巷に‥

近頃巷に流行るもの:映画篇。
表通り‥‥設定はベタ(ありきたり)或いは荒唐無稽、演出は記号的、判り易いキャラ構成、加えて重箱の隅々にまで施された小ネタてんこ盛り(+判読要請圧力大)、そんな小技・小手先で固めた安全・安心・安穏・安牌の行列。期待されるイメージを逸脱しない範囲でのケレン・大立ち回り。そんなのばっかしが目立つ。なるほど退屈はしないが感動も発見もない。
一方、裏通り‥‥「根拠なき自信」に満ち溢れた衝撃の問題作・野心作・意欲作がひしめき合う。カマしたもん勝ち。掛け声だけは立派だが、小心翼々・内心びくびく。力のないことをうすうす感じている人間が自己を正当化しようと精一杯張った虚勢・強がりが透けて見える。鎧の下の貧相な肉体。
表通りも裏通りもどっちもどっちだ。
もっとも近頃は表も裏もなくなった、それが問題だ、という北山修ドクターの指摘もある。同感だ。
表通りは閑古鳥でも、小さな辻を入った裏店が「隠れ家」的に繁昌し小商いにいそしむ、今の映画界を眺めていると、そんな基本構図が見えてくる。
限られた仲間内での落花狼藉・傍若無人。それをたしなめるどころか、面白がる風潮も強い。無責任に持ち上げもてあそぶメディアもいる。流行に乗り遅れまい・流行はオレが作ると、誰よりも早く劇場に駆けつけ、作り手が仕掛けた小技・小ネタを逸早く見つけだし、速攻でつぶやき、人に教えてひとり悦に入る‥そんな映画ファン・映画オタクはいつの時代にも居る。オレには監督さんの意図が読める、オレだけは理解者だ、ってか。
誰か、王様は裸だ、と言ってやれ。
聞きかじりの知識ばっかり豊富な耳年増も居れば、やたら情報収集に熱心な学究の徒も増えた。箸にも棒にもならない駄作を丹念に探し回り、お神輿に担ぎ上げて、「オレが見つけた」「オレが光を当てた」とはしゃぐ「発見」主義者「発掘」主義者たち。「情報依存症」「わけ知り顔」「半可通」「知ったかぶり」「ネタバレ自慢」
基本は少しも変わっちゃいない。そう思えてくる。大昔からのスピード競争。人より早いこと、何かについての知識があること、それがそれほどエライことなのか。
誰も映画に真正面から向き合っていない。心ココにあらず、半生(はんなま)時代の不幸か。それでも、腹を据えて、腕を磨いている人士はきっと居る。どこかに居る。そう思う。そう思いたい。