2ペンスの希望

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ミルフィーユ

映画は練り製品だ。何人何十人のスタッフが持ち場持ち場で練りに練り工夫を凝らして拵える複合生産物。旨味が何層にも積層した“ミルフィー”。
だからこそ、どんな楽しみ方をしようと構わない。味わい方は多種多様に開かれている。
映像を楽しむ、ストーリーを追う、テーマに共感する、音楽に酔う、演出に注目する、役者を愛でる、演技を味わう、ファッション・小物・小道具に目を向ける、小ネタ・小技を探す、ロケ地・セット・建築に着目する, etc. 深浅自在、何でもあり。 正誤正邪はない。理非直曲もない。どう見ようと見られえようと構わない。表層のみながら奥行き深く積み重ねられた多層構造体、そんな風に作られているのだから。
「一本の映画の丸ごとすべてを見ることなんて誰ひとり出来ない」 そんな言葉を残したのはどなただったか。