2ペンスの希望

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沁みる

東京で仕事をしていた時の話しだ。当時ニッポン放送で『お早う!中年探偵団』で人気だった高嶋ひでたけさんにインタビューしたことがある。その時に聞いたラジオ論が忘れられない。高嶋さんいわく「ラジオは沁みるんです」
確かにそのとおりだ。画が無い分、自由。想像が膨らむ。目を閉じて、耳を傾れば、世界は広がり、胸に沁みる。あの三谷幸喜さんも言っている。「ラジオならナレーターが一言「ここは宇宙」と言うだけで宇宙空間になってしまうんですから。人間に想像する力がある限り、ラジオドラマには無限の可能性がある。」って。【1997映画『ラヂオの時間』】
そんなわけでもないが、最近ラジオばかり聞いている。数年前に始めたラジオの朗読番組の構成台本書きの仕事も面白がって続けている。それに比べると、イマドキのテレビは窮屈、不自由極まりない。お話にもならない。この数年とりわけヒドイ。まるでプラスチック製。ピカピカのツルツル、パサパサのカラカラ。沁みる余地など何処にもない。
こんなことを書くと、ますますテレビからのお座敷が遠のきそうだが‥、まっいいか。