2ペンスの希望

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SK 50年ぶりに再見

スタンリー・キューブリックの1971年作『時計仕掛けのオレンジ』を半世紀ぶりにDVDで見た。公開当時、劇場で見て以来だ。前半の印象ばかリ強烈で後半のストーリーは全く忘れていた。「ファン」ではあるが、すべてを受け入れる「信者」でも「マニア」でもないので、ずっと見直さずに過ごしてきた。他の映画は何本も何回も見直しているのに‥。

ワーナーエンターテイメント版DVDには、「特典映像」として、主人公アレックス役のマルコム・マクドウェルが映画全編を流しながら製作当時のエピソードを語る「ボーナストラック」が附いていた。最近よくあるお茶濁し程度の甘口「メイキング懐かし同窓会コメント」かなと思って見ていたら、違ってた。本気の直球トークだった。こんなコメントが印象に残る。「非現実なのにリアルだ テンションが高く風刺喜劇だが――ものすごくリアルで人々の琴線に触れる それでいて決して 観客に媚びることがない 主人公を好きになるか 嫌いになるかを――観客に任せている 気に入られるために不自然な表現はしない

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スタンリーとマルコムが現場でやりとりをしている様子が目に浮かんでくる。‥‥真剣勝負のタッグマッチ、チーム編成の完全勝利。

本気の「作り手」チーム(スタッフ&キャスト)と、良質な「受け手」さえいれば、「第三者」(評論家 批評家 コメンテイターetc.)は出る幕なし・お呼びでないということだ。