2ペンスの希望

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よそゆき

よそゆきでいいじゃないか
リアルじゃない、嘘くさい という批判は今でもしばしば見かけるが、全く的外れ お門違いだ。「ありえねぇ、もあり」それが映画だと思うが如何?
俳優カーク・ダグラスは自伝『くず屋の息子』(1989年10月早川書房刊)でこう言っている。
映画は現実ではない。こうありたいと思う幻想でつくりあげれば、それで足りる」と。
実話に基づき、とか、原作に忠実に、といった謳い文句に踊って、事実と違うゾ、原作はこうじゃない、と指摘する向きもあるが、無茶な話だ。土台、文字や絵と映像ではジャンルも表現作法・スタイルも異なる。全く別の「作り物」だと考えないほうがおかしいのだ。好き嫌いは云々できるが、良し悪しを比べるのはどうかと思う。映画で見たから小説は読まなくてもいい、というのではもはや何をかいわんやだ。もっとも文学の世界では、あらすじ本・ダイジェスト版の出版が盛んだというから困ったものだが‥。出すのは商売人の勝手だが、受け手までが乗せられることはない。記号的なジャックフードばっかし食べてると、いつまでたっても表現の違いをふまえて、その精妙さを味わえる大人にはなれないよ、っと、お説教モードに入ったところで、今日はオシマイ。