2ペンスの希望

映画言論活動中です

二本立

シネコンからミニシアターまで、多くの映画館は完全入替制になっている。えっ映画って入替制じゃなかったの、途中から入って見たところまで見て出てくるのもアリだったの、二本立てもあったの、両方観ても良かったのと驚く人の方が今や多数派なのだろう。一度、お父さんお母さんに聞いてみて欲しい。
立ち見なし、予約でゆったりと落ち着いた環境で映画を鑑賞してもらうための顧客サービス向上策だとか、映画毎の入場者数を正確に把握するためのマーケティング策・配給会社の都合だとか、入替制導入の目的は様々に語られてきた。その根底には、映画人口が減少していく中、何とか料金値上げをしてでも総売上の下降を防ぎたい、という思惑があったのだと思う。かくていつの日からか、映画鑑賞は、お目当ての一本を選んで、上映時間に合わせて出かける目的視聴が常態になった。
レンタルも同じことだろう。見も知らぬ映画は誰も借りない。昔は違った。新作封切り映画も二本立てが基本だった。エース級の一本に「添え物」としてもう一本オマケがついていた。見たいなと思う映画と共に、併映されている映画があった。二番館、三番館(という言葉ももはや死語か?)では、三本立、四本立もあった。全部見る人も沢山いた。期待しないで見た映画が拾い物だった、メッケ物だった、ということもママあった。出会い頭の交通事故。嬉しい誤算という訳だ。数見ることで間違いなく見る目も鍛えられた。
完全入替制が、映画との出会い方を窮屈に狭めていることを思うと、また少し憂鬱になってくる。