2ペンスの希望

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三本立て

ミニシアターと名画座はどう違うのか?正確な定義は知らない。漠然と、ミニシアターは封切り館(痩せて枯れてもご当地初お目見え)、名画座は、封切りロードショーを経ての)二番手三番手上映というイメージを持っている。単館独立系或いは小ぶりな席数ということでは両者の違いはさほどない。何より利用する身からの一番大きな違いは、入替制かどうかだろう。いまだにミニシアターが馴染めない(というかくつろげない)のは、この入替制ゆえだ。名画座は違う。基本二本立てだ(少なくとも拙管理人が利用する映画館は今のところそうだ)。
昔は違った。
どの映画館も入替制ではなかった。ロードショー館でも気に入れば二回でも三回でも観た。番線落ちの二番館三番館では、二本立て、三本立て、はなはだしいのは四本立て、オールナイト一挙六本立て入替なしなんてのもあった。もちろん途中入場もOKだった。途中から入って観たところまで観て席を立つ。それもフツーだった。
それが変わった。各回入替制、基本は一本立て一回鑑賞。上映時間に合わせて劇場に行き、途中入場は原則お断り。で、何が変わったのか。
お目当ての一本を時間に合わせて観に行く「選択視聴」がすべてになった。
知らないもの、聞いたこともないようなものは、はなから排除される。かつては違った。二本立て、三本立ての頃、お目当てのものは、期待はずれだったが、思いがけない拾い物、みっけ物が結構あった。不意打ちの恋心、出会い頭の一目惚れ
ヒマだったんだね。そういわれてしまえばおしまいだが、添え物、併映に掘り出し物を見つけたときの喜びは格別だった。
世知辛くなった結果、失われたものは小さくないと思うのだが‥。そんな繰言はロートルの昔話。ノスタルジックな感傷と言われそうだが‥。レンタルショップ、DVDセレクトが日常の若い世代に一言いいたい。騙されたと思って、知らない映画、聞いたこともない題名の映画にも手を延ばして見て欲しい。意外な一本に出会うかもしれない。
寄り道わき道まわり道。たまには道草もしてみるもんだ。
もっとも、迷子になって、元に戻れなくなっても、当局は一切関知しない。