2ペンスの希望

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「撮影技師」

先輩キャメラマンと話をしていて、「撮影技師」と言う言葉を久し振りに聞いた。
仕事を始めた頃はフィルムしかなかった。
何年かの「撮影助手」期間=下積みを経てはじめて「撮影技師」に昇格する。
そんな時代だった。
撮影者は、選び取り、切り取る仕事だ
ビデオの時代になってそれが変わってしまった、と先輩は言った。確かに、ビデオは、選ばないし切り取らない。キャメラマンは、「撮影技師」ではなく、「オペレーター」だ。なんでもかでも手当たり次第に写し撮る。ユルフンの垂れ流し。
時代は更に進んで、いまや監視カメラとGoogle Street View の世界だ。
誰も何も選ばないし、世界中のあらゆる視点を自在に覗き見することが出来る。
かくして、どんどん表現から遠ざかる。
表現とは、選び取り・切るとること、つまりは、自らの「手を汚す」仕事なのだ。
だからこそ、資格も覚悟も責任も伴う