2ペンスの希望

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緩く・浅く・薄く

これまで「緩く・浅く・薄く」は貶めてきた。
もっと緊(きつ)く、もっと深く、もっと濃く、必然がほしい、切実が大事!そう叫んできた。一方で、
なりふり構わず青筋立てて、というのは敬遠してきた。 作らないで作る、汗もかかずに左団扇、虫ピン一本で急所を刺すべし、そうオススメしてきた。。
矛盾だった。
重厚長大が時代遅れになって数十年。映画も、芸能も、軽薄短小。この風潮、ロートルとしては苦々しく感じてきた。しかし、メディア環境は変わり、情報量は増え、時間の流れは速くなった。当節、重さや硬さを感じさせてはいけないみたいだ。大げさなのも受け入れられない。
ということで、時代と社会にキャッチアップするために「軽薄短小」に宗旨替えする。
そのままでは芸も能もないので、「緩く・浅く・薄く」と言い換えてみる。ただし、あくまで「宗旨替え」であって、「改宗」ではない。迎合ではない(つもり)。
お子様用の離乳食や病人食は認めない。水増し・上げ底・偽装食品も御免蒙る。
ソース(添加物)で食べさせる西洋料理ではなく、素材を活かした和食。あっさりなのに滋味豊か。美味しくて体に良い料理を求める。
緩くともピンと張った、浅くとも陰影の深い、薄味だかコクのある芸、素材の風味を失わせない丁寧な仕事を目指す。なんだ、あんまり変わってないじゃない、と云われてしまいそうだが‥。(この項、また書きます)