2ペンスの希望

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ミシマ社②

日本の映画業界はどこかで何かをこじらせて行き詰っている、そう思っている。
事情は出版の世界でも同じらしい。「本が売れなくなった」「出版不況だ」という声に抗して、単身出版社を立ち上げた三島邦弘さんの新刊にこうあった。  【朝日新聞出版 『失われた感覚を求めて 地方で出版社をするということ』2014年9月30日刊】
どうやらいまの出版業界の空気そのものがどこかおかしい。(中略)であれば、いったんちがう空気のなかで始めるほうがいいかもしれない。」そう考えた三島さんは、2006年10月出版社の無かった東京自由が丘で「ミシマ社」を旗揚げする。「で、そのとき決めたのだ。できるだけ「ほがらか」にやっていこうと。
「ほがらか」に加えて「のどか」に、のんびりのびのびやってきたようで、2011年4月には京都府城陽市に京都オフィスを作り、2013年3月末には京都市内に移転、更に川端丸太町の古家に移り、東西2拠点体制で今に至る。出版数も60点近くにのぼる。
ミシマ社の本と三島さんについては何度か書いてきたが、新刊の栞「ミシマ社通信」に是枝裕和監督の推薦文が載っていた。
三島さんは、編集の仕事は『発信』ではなく『媒介』だといいます。真っ白な状態で世界に向き合うことで逆に失われた主体性は取り戻せるのだ、編集とは感知し、届けるしごとだ、と。僕は、監督という仕事もまた、表現の前に、世界を、その豊かさを感知し、再び世界に投げ返す『媒介』なのだと考えているひとりです。
そして、
僕たちが繋ぐのは、商品と消費者ではないのだ、という時代と職業に対する覚悟にも似た認識こそが、三島さんの柔らかな仕事の核にある‥‥
後略」
『発信』ではなく『媒介』 『表現』の前に『媒介』‥おっしゃりたいことはわかる。しかし、言い回しがいかにも「もっちゃり」してる。そう思うが如何? ‥このことは明日書く。