2ペンスの希望

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誠実だが

決して悪くはないのだが、どうしても映画が面白くない(と思う)カントクさんが居る。
昔なら小栗康平さん、最近だと是枝裕和さん。誠実で良心的なのは分かるつもりだが、どの映画も楽しめない。生理が合わないといえばそれまでだが‥。
古臭いとか新しいの話ではない。刺激や特殊効果の有無でもない。
『発信』でも『媒介』でもいいけれど、いやしくも、作り手・送り手であり続けるつもりなら、
作りの巧・拙、上等・下等は見過ごせない。ないがしろには出来ない。
簡にして要を得た見せ方・伝え方の工夫、どこまでも正確さを突き詰める努力、湿りすぎず乾きすぎないエレガンス、洗練、洒脱、腕、手技、按配・彫琢(加工研磨)、‥‥。
ただし、ただの技巧、凝ったショットのことではない。
アタマと手の、クチと手の距離の話である。もとより他人事ではない。
概して観客は与えられる映画よりもはるかに賢い」最近読んだビリーワイルダーのインタビュー本の言葉だ。
【『ワイルダーならどうする? ビリー・ワイルダーキャメロン・クロウの対話』182P
キネマ旬報社 2001年1月31日刊 原著:CONVERSATIONS WITH WILDER by Cameron Crowe 宮本高晴訳】