2ペンスの希望

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遅効性

映画にも即効性の映画と遅効性の映画がある。
即効性の映画とは、例えば往年のヤクザ映画。劇場から出てくる男性客は一様に眼光鋭く肩をいからせて健さん気分。分かり易い。 ジェットコースター(ローラーコースター)・ムービーなんてのもそうだ。息もつかせぬアクションまたアクション「スカッとさわやか」。
遅効性の映画はそれほど単純ではない。一筋縄ではいかない。
館内が明るくなっても、どこか人さらいにでもあったような、しばし迷子気分、茫然自失。といっても悪い気分じゃない。(このあたり微妙。作り手だけが自己陶酔、いい気になって観客は置いてけぼりといったそこらの「悪酔い」映画とは截然と区別しておきたい。)
恍惚映画と呼ぼうか、アドレナリン分泌映画、後に尾を引く納豆映画、 「一粒で二度」いや何度でも美味しい反芻映画とでもいうか。
とにかく、「うまい、やすい、はやい」(上手い?易い?早い?)の対極映画。
思い出すたびに頬が緩む映画もあれば、あれは何だったんだろうといつまでも胸がざわざわしておさまらない(治まらない?納まらない?)ムラムラモヤモヤ映画もある。
こらこら そこの君、判り易い味付けのジャンクフードばかり食べてると消化器系は弱るばかりだよ。大きな胃袋と旺盛な咀嚼力を鍛えなさい。
もっとも、責任の第一は、速攻お子様向けジャンクフードを量産し続けるメーカーサイドにあることは間違いないのだけれど。飽きて捨てられてから気付いても手遅れ。オジサンは知らないよ。自業自得。