2ペンスの希望

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ボンクラ魂

杉作J太郎さんの『ボンクラ映画魂 完全版 燃える男優(オトコ)列伝』【徳間書店2016年2月 刊 底本は1996年洋泉社『ボンクラ魂 三角マークの男優(オトコ)たち』】を
読んでいる。 後書きにこうあった。
ボンクラ魂というのは、はらわたの底に燃える炎である。
本書はその炎を伝達する聖火リレーのようなものであってほしい。
聖火というのとは違うだろうがとにかくまあ熱いなにかだ。
困難の多い人生。
うまくいかないことだらけだが。
はらわたの底の炎が消えてなければ。
なんとかなる。
ボンクラ魂。

昨日までの内藤篤本とは根性が違う。役者が違う。貫目が違う。ゆるい日誌ではなく、年季の入ったハードコア。とは言っても、内藤さんの名誉のために申し添えるが、優劣じゃない。読み物としてのタイプが異なるっていうだけの話だ。
それにしても、阿藤快(海)や室田日出男、波島進、青木義朗など、時には主演もはる有名どころから、中堅 汐路章志賀勝、遠藤太津朗(遠藤辰雄)、曽根晴美高宮敬二、そして、顔は知ってるもののほとんどは名前までは知らないであろう秋山勝俊(『冬の華』)、五十嵐義弘(『仁義なき戦い』)、岩尾正隆(『竜二』)あたりまでがあいうえお順に堂々651名並んでいる。序文にはこうある。
購入したら何度でも読んでほしい。
そして興味を持ったら、その映画を観て下さい。
観る手段や方法がなければ、その手段を作るのは、「観たい」
と思ったあなたかもしれません。
田中邦衛さんが『北の国から』で水を引いたような作業が情報にも
映画にも、いや、おそらく今度は食品から人との出会いに至るまで、
全て必要になってくるのです。
一見便利な世の中というのは、最大に不便な世の中なのだから。

20年前に比べ、「観る手段や方法」は格段に増えた。観易くなったのに、それ故に、
観られなくなってしまった「映画」のための、これは、憤怒の書、怒りの鉄拳だ。