2ペンスの希望

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撮影と編集

監督には二種類ある。撮影の現場が好きな監督さんと編集作業が好きな監督さん。
撮影現場はムカデ競争の際たるものだ。スタッフ・キャスト皆の呼吸・息がぴったり合わなければ撮影は前に進まない。昔のように撮影所の中に手間暇かけたセットを組んで思い通りに心行くまで撮影に打ち込めるなんて条件は昨今望むべくもない。借りたロケ場所で時間に追われ、天候にいじめられ、妥協を強いられながらの撮影。それでも号令一下、人の力の結集が思わぬ掛け算成果を生む撮影現場を至上とする監督さん。
一方、撮影より編集が好き、気心の知れた編集マンと或いは単身・唯我独尊で、編集マシンに向かうことを好む監督さんもいる。100%自分でコントロールし得る喜びもあるが、それ以上に大きいのは、形になっていく・仕上がっていく楽しみ、そう語る監督さん。
撮影=素材集め、編集=調理・料理人の腕の見せどころというところだろうか。
昔オールラッシュ(技術的NGだけを抜いた全カット・全テイクをすべて繋いで通しで試写する)が退屈なものほど編集すると面白くなる。反対に、目を見張る様ないい画がたくさん撮れてるフィルムが仕上げてみると全然面白くなくてガッカリすることが多いと言われていたことを思いだす。いい画(カット)が意外に使いにくく、使えそうにない何でもない画(カット)が生きてくる編集マジック。映画は流れで決まる。生かすも殺すも編集次第というわけだが、それでも撮影でいい画(カット)が撮れていないことには料理のしようもないことは確かだ。