2ペンスの希望

映画言論活動中です

モリムラ展

森村泰昌の展覧会最終日に行ってきた。
そう、30年間様々な画家に扮してなりきり写真を自撮りしてきたあのアーティストだ。
正直半信半疑だった。「私を消したいわたし」という屈折した自己顕示欲に付き合わされるのはなんだかなぁ〜。
どんだけ自分が好きなの、とか、アイディア一発勝負じゃないの、とか、観客の知識・教養をくすぐる選良意識はヤダなぁ、とかとか。 いや、御見逸れしました。脱帽とまではいかないが、少し感心した。
腕もあり、骨もあり、長く続ければそれなりに世界観も美意識も磨かれていくものだという見本のような美術家だった。美術史家でもあり、美術批評家でもあった。(なに、管理人さんが美術好きのスノッブってだけじゃないの、と言われてしまえばそれまでだが。)よく物真似芸人を「他人のフンドシで相撲を取ってるだけのくせに」と揶揄し貶める輩がいるが、芸になっているかどうか、美しいかどうか、が勝負だ。その一点で吟味すればよい。拙管理人はそう思ってきた。モリムラは、美術界のコロッケさんだった。
展覧会は終わってしまったが、YouTubeに動画があったので挙げておく。虚心坦懐にどうぞ。それにしても最近写真撮影OKの美術展が増えた。これも良し悪し半ばだ。