2ペンスの希望

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作る奴は見ない 見る奴は‥

仕事に没頭していた頃は 映画館にも行かず(行けずではない)、映画も殆ど観なかった。時間が無かったというのもあるが、そんなことより、作ることに夢中で、そっちの方が面白かったというのが正直なところだ。もうひとつ、タマに映画を観ると、色んな意味で腹が立ったり愕然とすることもあって避けていたところもある。出来のひどいものを見ると悲しくなるし、出来のいいものに出会うと嫉妬する。彼比の差に愕然として自信喪失につながりかねない。それを恐れたという弱腰も幾分かは混じっていた。そんな訳で永らく足が遠のいていた。
観るプロの方々はどうだったのだろう。知る人ぞ知る大阪のプラネット映画資料館の安井喜雄さんは、或るインタビューでこう発言している。
最近の映画はあまり見てないですね。見る暇がないのと見る意欲がないのとで、ここ10年ぐらい新作をフォローしていない。映画は麻薬みたいなもんで見だすと見るんやけど、見んでもいいとなったら見なくても苦にならない。」(jajaの映画人聞き書きシリーズその3 1997年10月18日)
そうなんだ、見なくても苦にならない。映画なんてその程度のものだ。無くったって生きていける。それでいい。けど、作るプロは、先達の仕事を見て学ぶことを忘れてはいけない。そう思う。時代も条件も違う。それでも、映画を作ることの喜び、真剣さ、緊張感が画面の隅々にまでみなぎる映画、そのウデとワザを浴びるように学ぶことが不可欠だ。
映画を学ぶのは
、学校や教室ではない。講師や教授ではない。自分で(自前で)映画を見ること。それしかない。