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映画は戦場だ

映画は戦場だ」というのは、アメリカの映画監督サミュエル・フラーの言葉だが、日本の脚本家・笠原和夫は、「秘伝 シナリオ骨法十箇条」の中でこんなことを書いている。
脚本家はいわば戦争における〔作戦参謀〕である。ついでに言えば、プロデューサーは軍令部であり、全体の戦略を立てる。監督は現場の指揮を取る司令長官であろうか。」(一部 勝手に省略しています)【『映画はやくざなり』2003年6月 新潮社刊】
前後にはこんなくだりもある。
戦争における〔作戦参謀〕である脚本家は自らの芸術を追求するのが仕事ではなく、自らも参加した作品の「芸術度」と「商品度」を冷静に算定するのが最大の任務である。文士気取りになるのが一番滑稽な錯覚である。」(こちらも一部 勝手に省略)
最近は、作戦も指揮能力もなく、徒手空拳で、戦争を仕掛ける手合いも少なからずいる。自分の金で作るのだから、何をどう作ろうと自由だろ、好き勝手にやって何が悪い、と開き直る向きもあるかもしれない。けど、公共の公園で、内輪だけで「戦争ゴッコ」に興じるのは、はた迷惑でもあることに、いい加減気付いて欲しい。「ひとりよがり」の映画戦争ゴッコ。どこかで、タカを括っているんじゃないか。なめてるんじゃないか。勘違い野郎はいつの時代にもいるものだが、そうした連中を、若者らしいチャレンジ精神とか瑞々しい感性とか云って持ち上げる大人は、若者以上に性質(たち)が悪い。