2ペンスの希望

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三深切

河竹黙阿弥といえば、幕末から明治にかけて活躍した芝居ライターだ。
彼が説く戯作者の心得「三深切−座元に深切、役者に深切、見物に深切」。深切は親切に同じ。勧進元が喜び、役者が演じやすく、観客も喜ぶ。三つとも満たされていなければ、戯作としては不十分というのだ。イマドキでいえば、「Win−Winの関係」ということにでもなろうか。
「三深切」には作り手側(脚本家、監督、スタッフら)が一切出てこないことにも注目。座附作者の面目躍如である。
当時の観客は、三味線を弾き、義太夫をうなる目の肥えた人が多かった。観客もプロ、作り手たちもプロ。けど《昔は良かった》とは口が裂けても言いたくない。だとするなら、観客の方は放っておいても、今の作り手はもっと精進する方がよかろう。(何故観客は放ておくのか。観客の方がズット育てにくい=育ちにくいからだ。)
「三方良し さもなくば元の木阿弥」。もっともコッチの木阿弥は、戦国時代に城主の身代わりに立てられた平民に由来する。用済みとなった後はもとの平民に戻ったことから生まれた言葉とのことで、河竹黙阿弥とは無縁らしい。従って、ココで使うのは誤用なのだが‥「音(おん)」が同じだということで、知らぬ顔の半兵衛を決め込み‥‥‥
今日は、強行突破で、蒙御免。