2ペンスの希望

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誰に見せるのか

誰に見せるのか、誰に見せたいのか、絞れば絞るほど、逆に万人が共感を寄せる普遍的な表現となる。経験から真理だと実感しているテーゼのひとつだ。
なのに、誰に見せたいのか、全くもってよく分からない映画が多すぎる。作り手の自己満足。観客不在。昔々のことだが、企業や自治体などがおカネを出して作る広報映画、PR映画をたくさん作ってきた。その頃、口をすっぱくして主張してきたのは、担当者であるあなたが見て満足することがゴールではないのですよ、あなたは観客ではなく、つくり手=スタッフの一員、誰に見せるのかをハッキリさせて下さいね、ということだった。それでも、担当者や上司が納得したらそれが第一ゴールにして最終ゴール、映画は上手く活用されずに賞味期限が終了してオシマイ、という仕儀無きにしも非ずだった。とりわけお役所仕事にそういうのが多かったようにも思うが、これは気のせいか。
作ったことで良しとする風潮、持ち上げる外野、作った当人たちも何やら仕事をした気分、有るのは中身の無い達成感だけ、作ったもん勝ち、‥‥最近の自主映画の隆盛、邦画バブルがそうなっていないことを願いたい。