2ペンスの希望

映画言論活動中です

胃袋

若い友人(といっても世間的には十分にイイ歳のオッサン)と話をしていて、「好奇心」と「批判力」が衰弱している、という話になった。
目の前に情報が溢れ、選り取りみどり、キイボードを叩けばネットの情報に容易にアクセスできるようになって、逆に選ぶ力が落ちている、というのだ。何を選べば良いのか、分からなくなっている。何を選んだって大差は無いという諦念もある。何かを選んで失敗したくない、という思いも強いようだ。逆に、見たものは疑わない。ころっと信じる。胃袋小さく、素直ということか。

自主映画の弱みは、自分の関心領域に限定されることだろう。知らないもの、嫌いなものは食べない。おしなべて偏食になる。胃袋の大きさにも左右される。
分からない人には無理に分かって貰わなくてもいい、分かる人だけ仲間うちでワイワイやればいい、そうなりがちだ。分からない人に(価値観や美意識の異なる人に)、
どう届けるか、ものづくりの醍醐味はそこにある
。そんなこと無理、出来っこないよ、という人に忠告しておきたい。なぜ分からない人までも射程に入れるのか。それは、今一緒に生きているからだ、この国に、この時代に。