2ペンスの希望

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オーフェン

最近オーフェン・フィルムという言葉を知った。オーフェン(orphan)とは、英語で「孤児」を意味する言葉、従ってオーフェンフィルムとは「孤児映画」ということだ。提唱者は、1957年生まれのパオロ・ケルキ・ウザイさん。彼の論文が
NPO映画保存協会のHPに載っているので、見て欲しい。
http://www.filmpres.org/archives/457#more-457
そもそもの映画の歴史が、プリントの売買から始まったことなど、「目からウロコ」の話題が次々に出てきて刺激的だ。
一言で「孤児映画」といっても、その出自や来歴は様々だ。パオロ・ケルキ・ウザイさんは、テッテ的な定義を試みた上で、こう発言している。
私はフィルムアーカイブという名称は好きではありません。実際に現場で起こっている出来事を、そのような名称では表現し得ないからです。むしろフィルムの孤児院と呼んではどうでしょうか。」【©Paolo Cherchi Usai “What is an Orphan Film? Definition, Rationale and Controversy”(翻訳:石原香絵)】
そういえば、最近、映画を作るのではなく、文化財として映画を研究する若い研究者が増えていると聞く。彼ら彼女らが「フィルムの孤児院に関わろう」、「映画保存学を学ぼう」と志しても海外留学しか手がないらしい。日本には、修士以上のレベルで専門的に学ぶ「映画保存学」の学校はないとのことだ。作るための映画の学校は、あまたあるというのに‥どこか一個ぐらい本気でやらないかなあ。