2ペンスの希望

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Plan 4 初期化

映画史を書き換えなければならない」敬愛する映画人T監督の口癖だ。「これまで書かれてきた映画史は、商業映画の歴史であり、リアリズムの映画史でしかない。映画の世界はもっと広く深く豊かな歴史を築いてきた筈だ。アンチ・リアリズムの映画史が書かれねばならない、そのために、すべての既成概念・固定観念をとっぱらえ」T監督の思うところを勝手に要約すればこんな感じだろうか。
まったく異議なし
リアリズムに囚われない、反リアリズム、逆リアリズム、脱リアリズム、超リアリズム、非リアリズム、偽(擬・戯) リアリズム、‥‥、浮かぶ限りの映画史が多種多様に自在闊達に構想されれば、素晴らしい。
リセットのすすめ。
一旦すべてをリセットして「原点に戻ってみること」を提言する。
イマドキのIT用語を使えば、初期化、再インストール、OSの更新‥いや、生兵法はやめよう。大怪我のモトだ。
原点に戻れ、といっても、「映画史を学びなおせ」ということでは無い、「自分自身の映画史を書け」ということだ。知識や教養として映画史を学ぶことを否定するわけではないが、そんなことはヒマ人に任せておけば良い。もっと切実な課題と真正面から向き合う方が健康的だ。
「映画の歴史の原点」を見つめなおすことは「自身の映画との出会いの原点・出発点」について再度再再度考えてみることだ。何に惹かれたのか、一体映画の何に魅せられたのか、それは何故なのか。そもそも映画とは何か、どうあるのが理想か。今映画は何処にいる(ある)のか。何処まで来たのか。自分に何がどこまで出来るのか、結局何をやりたいのか、短絡せず愚直に正直に考え抜くことだ。何を今更と照れずに白けずに。老いも若きも、何度も、何度でも。
「トンネルは後を見ながら掘る」(吉原順平)
「未来は過去の中にしかない」(雨宮修一)
「原点が存在する」(谷川雁)
いやいや、
原点は遍在する」と言おう。