2ペンスの希望

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反反復復反復

2012年11月3日ご近所に「横尾忠則現代美術館」がオープンした。遅れ馳せながら開館記念展Ⅰを観てきた。「反反復復反復」
面白かった。
変奏に次ぐ変装、また変相。
横尾自身のつぶやきから
いくつか抜粋する。

ぼくの作品が全て本物かどうかなんてあやふやなものだ。本物など描いた覚えがない。全部自分の贋作なんだから。」「若冲のある有名な作品が本人の作ではないのではという議論が起きているらしい。そんなことはどちらでもいいように思う。それがもしニセ物だとしても作品自体には何の変化も起こらない。ぼくは毎日自分のニセ物を描いている。」(May 2010)「人間は全て誰かの贋作だ。」(Aug.2012)
そうだよな、みんな誰かからの借り物・貰い物。自分なんて何処にもいないし、何処にでもいる。
映画の世界にも
リメイクがある。他の監督さんが手掛けることが多いが、自身で何度も同じ主題を繰り返し描くこともある。劇場公開時に、諸々の事情で意にそぐわなかった映画が後にディレクターズカットとか完全オリジナル版と称して出回ることがある。有り難がる諸君もいるが、全く食指が動かなかった。これこそホンモノ・オリジナルという触れ込みは、横尾忠則の精神とは対極に立つ。唯一無二なんて存在しない。とりわけ映画はそうではないか。ディレクターズカットなんて、包装は誠実めかしているが、売らんかなの商魂丸見えじゃないか。おこがましいというか、往生際が悪いというか。ディレクターズカットなんぞをリリースする監督には、眉に唾してかかった方がいい。