2ペンスの希望

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86−12「挨拶に困る」

題材やモチーフのみで映画を区別もしくは差別するのは、明らかに誤り」であり、動機や主題がどんなに高邁でも面白くない映画は駄目だと斬り捨てる。「どうしてこんなに楽しくない映画を自分(=山根)は見ているのかと嘆きたくなる」「けっしてヒドイ出来ではない。ならば、面白いかといえば、少しも胸を打たない。それで挨拶に困ってしまう」「真実に迫ることがどうしてこんなに楽しくなく、うんざりさせるのか、真実とはそんなものなのか」と書き、「映画と観客の欲望がうまく行き合えていない」と記す。
【註:青字部分は、山根時評からの引用箇所】
イヌやネコを観に映画館に押しかける人と、歴史的な事件・社会的なテーマを扱うからと言って無条件に評価する姿勢は、映画に対する感受性の幼さにおいて実は同列である。映画は題材ではない。
教訓その3は、見せ方の工夫・構成力こそ映画の面白さであり、それを欠いた映画は、どんなにご立派でも落第ということだ。如何に身体に大切な栄養だといわれようと、マズイものはマズイ。「こんな重大な題材を採り上げたんですよ、どうですか」そう言われても、ホントに挨拶に困る。