2ペンスの希望

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スケアード・ストレート

たまたま夕方のニュースを見ていたら、プロのスタントマンによる「交通安全教室」の話題を放送していた。
「スケアード・ストレート」という教育手法なのだそうだ。
スケアード:scaredというのは、「怖がらせる・おびえさせる」という意味の英語だ。scared straightは、「恐怖を実感させることでそれにつながる危険行為を未然に防ぐ教育方法」ということになる。番組では、中学校のグラウンドで交通事故現場が再現され、アクション映画のカー・スタントさながら迫力満点の演技で、交通ルールを遵守することの大切さを体感させる様子が紹介されていた。いかにもアメリカからの輸入物らしい教育技法だなと思いながら、二つのことを考えた。
一つ目。映画のスタントマンも大変だなぁ。喰う為には色んな仕事をやらないといけないんだよなぁということ。(同情しているのでも貶めているのでもない。むしろ、好きなことで生きていくことへの共感とエールを送りたい。)
二つ目。(こちらの方がしんみり考えさせられた。)若い人達を中心に物事を想像する力が衰えてきているのではないかという危惧だ。人間、言って聞かせればソコから先はイメージできる、そう思ってやってきたが、そんな楽観的なことではすまなくなっているみたい。目の前で見せてやらないと分からなくなっているようだ。想像力を信用しない教育は不幸だ。この交通安全教室を企画した人たちの中に、目にモノみせる・見せしめ、威圧と罰則で人間をコントロールしようとする思想を感じた。‥舌にザラリといや〜な気分が残った。昨今の映画の描写が、より過激によりリアルにエスカレートしながら、表層と末端刺激的でしかなくなっている傾向にも通じる気もする。杞憂ならよいのだが‥