2ペンスの希望

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園庭と荒野(ジャンル映画)

ジャンル映画なんて云い方はとうの昔に廃れた、そう思ってきた。
今日は、それがどっこい生きていたという話。
ひょんなことから「学生残酷映画祭」なる存在を知った。応募規定にはこうある。「流血や人体破損などの残酷描写があること」。ホラー、スプラッターに専門特化した学生映画祭なのだ。毎年開催で四年目。初代代表が意気込みを語っている。「こういう時代だからこそあえてジャンル映画に挑戦する。」上映タイトルには『人食いメイドと殺人ナース』『女子高生のはらわた』『女子大生怪奇倶楽部』と、いかにもが並ぶ。確かにホラー映画はいつの時代にも根強い人気を持つジャンルだ。レンタルショップには専用棚が設けられ、かなりのタイトルが揃う。新作も定期的に作られている。中にはハリウッド進出を果たした日本の監督もいる。需要と供給がバランスするマーケット商品なのだ。拙の知人にもこのジャンルでキャリアを積み上げている者がいる。
その昔、ピンク映画・成人映画が若手の育成グラウンドだった時代があった。それがAV、Vシネと変わり、今は、ホラー・スプラッターがメジャーデビューの近道になっている。そう考えれば若い人たちが面白がって集う気持も分からぬでもない。
ただ、ロートルから眺めると、ただただおぞましく、せせこましく見えてくる。
正直な話、さもしさも感じる。(学生諸君がさもしいといってるのではない。時代と情況がさもしいのだ。)
もちろん、どんな映画をどんな風に作っても構わない。楽しみ方も自由だ。過激な逸脱、枠に嵌らないやんちゃ、それをエンターテイメントとしても良かろう。 ファンダム。
けど、同好の士だけがちんまりと集まって愉しむお遊戯幼稚園映画ではつまらなかろう。仕方がないのかもしれないが、もう少し「仕方」と格闘してみてはどうだろう。
こじんまりと閉じた園庭で遊ぶより、向かい風を受けながら何も無い吹きっさらしの荒野で遊ぶ方を選びたい。それが若さの特権だと思うからだ。