2ペンスの希望

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タイアップ

映画のタイアップは、昔から嫌というほどあった。タイアップにも時代が反映する。かつては化粧品や自動車、お酒やお菓子、粉ミルク、等々‥航空会社や観光地などが常連だった。娯楽映画だけではない。文芸大作も芸術祭参加作品も同列。あらゆる映画であらゆるタイプのタイアップが行われてきた。右の映画では、後半森永乳業が主催して健康優良児を選ぶ「赤ちゃんコンクール」が重要なシーンとなっていた。
映画には限らない。すべての表現物・メディアはタイアップの対象だ。専門に扱う広告宣伝会社も出来ている。最近目立つのは、コンビニとのタイアップ。
業界二番手のファミリーマート吉本興業や韓流と組む、ローソンは『エヴァ』や『けいおん』といったアニメに強いらしい、最大手のセブンイレブンは、ここ最近ジャニーズ事務所と組んでいる‥と、これらの情報はいずれも若い事情通からのものだ。
映画を見たわけではないので、これも伝聞だが、最近の事例を教えてくれた。
ジャニーズ事務所所属のアイドルたちが戦隊ヒーローとなって登場する場面では、「あなたの暮らしに近くて便利!」という文字がはためいていたそうだ。一人一人顔がアップになるとヒーローたちは、それぞれセブンイレブンで買った食べ物を口に入れながらセリフを言うという念の入れようだったらしい。
思わず「これって映画本編なの?CMじゃないの?」と疑ったという話だった。

大手だけじゃない。地元で美味しいと評判の牛乳屋さんが、人気漫画原作の「お風呂屋さん映画」とタイアップしたケースもある。
こちらについてはたまたま縁あって現物の「フルーツ牛乳」を飲んだことがあるので伝聞ではない。体験だ。
最近はタイアップもコラボとか称するらしい。どっちでもいいけど、盛り上がっているのは、関係者とファンだけ。行き交う情報は地元とネット周辺。映画の中身もフツーのお客さんもそっちのけというのは、願い下げにしたい。(タイアップがいけないと言ってるわけじゃない。そのエネルギーを少しだけでも映画本体に向けてみてもいいんじゃない、
そうお願いしたいだけだ)