2ペンスの希望

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雅語・紋切り型・こんちゅう記者

お役人、それも地方公務員諸氏は、「きづき」という言葉が大変にお好きだ。同じように、映画評論家先生は「まなざし」が大好きなご様子だ。PR映画や文化映画のナレーションでは、はぐくむ、いつくしむ、いざなう、いやす、つむぐなどが頻出する。何を隠そう,若い頃からそういうナレーションをゴマンと書いてきた。品が良さそうで、耳に心地よく響く言葉・雅語。文学的香りも強い。
もうひとつの系譜。「こころの闇」や「透明な悲しみ」のたぐい。何も言っていないのに、何か言ったような気分になる言葉群。何のこっちゃ、通り一遍の紋切り型。こちらは新聞記者周辺に多い。いかにも真摯に向き合っていますよという気分だけ。
若い頃、「こんちゅう記者」という言葉を聞いたことがある。どんな新聞記事でも、文末を「今後の動向が注目されます。」と纏めれば終われるという魔法の言葉。誰の胸にも届かない。なのにご当人ひとり悦に入っている。そんな文章しか書けない記者を「こんちゅう記者」と揶揄した。いずれも始末におえない。いや始末が悪い。