「壇蜜」のことはご存知の御仁も多かろう。では、「うしじまいい肉」についてはどうだ。
拙は都築響一さんの連載で初めて知った。
【紀伊国屋書店出版部発行のfree magazine “scripta ”summer 2013「読みびとしらず」連載第28回『うしじまいい肉写真集』 2013年7月1日発行】
都築さんといえば、時代の切っ先に嗅覚の利く編集者兼ライター。以前から愛読してきた。以下今日は、都築さんの尻馬に乗った、上述の文章からの受け売り。
「「うしじまいい肉」とは、ネット世界を中心に絶大な人気を誇ってきたカリスマ・コスプレイヤー。(表題の本は)マンを持して発表した初の紙媒体写真集。(壇蜜含め)ふたりとも、カメラマンやプロデューサーに頼るのではなく、みずからをエロティックな形象とすべく、セルフプロデュースしてきた。」
「そこには、みずからの肉体(と、わずかな布地)をつかって、みずからをプロデュースする「主体性にみちたエロ」がある。」
「多額のモデル料と引き換えに、男性の妄想のオモチャを演じるのではなく、男性の妄想をオモチャにして自分が遊ぶ、コペルニクス的転回がここに完成しつつあると言ったら、言い過ぎだろうか。それが女優でもモデルでも、アイドルですらなく、コスプレイヤーによって実現されつつあることは、なにかを示唆していないだろうか。」
「そうしてそれが世界のほかのどの国でもなく、どこよりも男子の草食化と女子の肉食化が急速に進行しつつある日本でいま起きていることが、僕(都築‥引用者注)には偶然とはとても思えないのだ。」
いささか大げさな文章ではあるが、「セルフプロデュース」というキイワード、それに注目する「エディター」。 ここには、時代が映っているような気がする。が、どうだろうか。