2ペンスの希望

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巨大な器

平山夢明さんという作家が『DINER』という小説【2009年10月 ポプラ社 刊】の
あとがきにこんなことを書いている。
七人の侍』制作時に黒澤明監督が語ったような「ステーキにしゃぶしゃぶに寿司にカツ丼とハンバーグを載っけたような」贅沢な読み物にしたかった。
二〇〇七年に有難いことに推理作家協会賞短編部門と同年の「このミステリーがすごい!」国内部門で一位を戴いたのですが、その時の感想で最も多かったのが「これはミステリーではない」という指摘でした。「やはり平山はホラーの人間なのだ」という噂も耳にしました。しかし本来、エンターテインメント的読み物というのは、ホラー的な側面もミステリー的な側面も文学的な側面も、またSF的な側面もすべて飲み込んでしまう巨大な器なのだと思うのです。学校ではないのだから「これは理科」「これは算数」などという簡単な分類は物語にはそぐわない、書き手が渾身の力を込めて打ち込める物語であったか否かだけが問われるべきではないでしょうか。その意味に於いて本作は総力戦で取りかかることのできた作品でした。愉しんで戴ければ幸いです。
」(一部改変)
黒澤明監督の言葉については与り知らない。(平山さんの創作?!)
ただ、彼が言いたいことはよく分かる。
異議なし! 分類してレッテル貼って安心するのは、児戯。大人のすることではない。