2ペンスの希望

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事実の加工

ちょっとした用があって、広田照幸さんという教育社会学の先生らが書いた本『教育問題はなぜまちがって語られるのか?「わかったつもり」からの脱却』【日本図書センター2010年9月 刊】を読んでいる。
「教育問題」をめぐる議論がコースアウトしてしまわないために留意すべきポイントを大学講義・授業形式で書き綴った本だ。面白い一節があったので引用する。
 「「事実に関する情報」は、必ず、出来事の一面を切り取って整理する、という作業が関わっているといえるでしょう。どんな事件や出来事も、誰かの手で情報が整理され、解釈されて、シンプルなものに加工されているのだ、ということなのです。
だから、みなさんは、流れている情報をそのまま「事実」と受けとめてしまうのではなく、ぜひ、慎重な姿勢を持ってほしいと思います。「事実」に関する情報は、誰かの手によって選択され、組み立てられているのです。世間に流れている部分的・断片的な情報の向こう側には、もっと複雑でこみいった事情や背景や構造をもった現実があることを忘れないでくださいね。
」(強調は引用者)
「そんなこと分かってるさ」といわれそうだが、コレって、ドキュメンタリー映画の編集要諦そのもの。切り取られ作られた「事実」や「実話」を鵜呑みにして有り難がってはいけない。新聞やテレビのニュースが加工されたものであり、裏側に意図や計算や思惑があることを忘れないことだ。(太字に注目あれ)