2ペンスの希望

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社会科学的な視点

昨日の続き。あとがきにこの本が生まれたきっかけが書かれていた。
広田照幸先生、編集者と飲んでいた席で酔っぱらってついグチをこぼしてしまった。
そのやりとり↓
広田「教育学を勉強したい、教師になりたいといって大学に入学してくる学生に、社会科学的なセンスがまったくなかったりするんだよねー。 なんか、情熱さえあれば教師がやれるだろうとか、教育はテクニックの問題だろうというふうに、 ずいぶん単純に考えちゃってるんだよねー。」
高野氏(編集者)「はあ、そうですか。」
広田「ちゃんと社会科学的な視点を身につけて、教育の問題を考えてくれれば、と思うんだけどねー。」
高野氏「あ、面白いですね、それ。 進学先を考えている高校生の人たちや、大学に入ってまもない学生の人たちに、社会科学的な視点から教育問題を考えてもらうような、読みやすい本を作るというのは、どうですかね?」
広田「お、いいねぇー、それ。」
高野氏「教師になる人にも役立つだろうし、教師にならない人でも、教育問題をちゃんと理解できるし。」
広田「それ、とても重要だわ。教育問題をめぐる世間の議論の水準も上がるかもしれないねー。 うーん、やるかー。」(とあらためてビールで乾杯する)
‥‥(以下、延々と飲んで盛り上がる)‥‥

なるほどね。
広田先生は、「不謹慎でゴメンナサイ」と書いているが、なかなかどうして。
教育⇒映画」と置き換えて読み直して貰いたいものだ。
意欲がある。作りたいものがある(伝えたいテーマ・題材・メッセージがある)、カメラを操る技術がある。それだけではまだまだ全然足りないのだ。
「社会科学的な視点」をふまえない営みは、単なる個別・個人的な慰みにとどまる。
ソレが悪いというわけではまったくない。しかし「社会的に」意味がないのでは、いかにももったいない。