2ペンスの希望

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昔の人は‥「そぞろ書きⅩⅢ」より

大学時代のサークルの新年会に出席してきた。その席で、米寿の大先輩から、新刊「そぞろ書きⅩⅢ」を頂戴した。筋金入りの映画好き、抑制の利いた文章・文体で、昔々の映画や演劇の話題、若き日の暮らしを綴った書物だ。 芳醇(豊潤)な味わいを毎回ちびちび舐めるように楽しみにしてきた。その最新刊。本文は時間をかけてゆっくり読むつもりでいるが、あとがきがまた楽しかったので、本人の許しを得て紹介する。
‥‥昭和初期における高校教師の家庭の風景を感じていただければ幸いである。
 ここに載せた手紙の類は若い人には読み難いだろうが、原文の儘にした。旧かな遣いの味わいを分かっていただければ幸いである。中には誤りも見られるが、昔の人はパソコンから「この綴りは誤り」なんて余計なお節介は受けなくてもよかった。漱石にしても、その他の明治、大正の文豪といわれる人だって、ずいぶん怪しげな当て字を使っているが、書き手には当て字の多様性と洒落っ気の楽しさ、 読み手には意味さえ通じれば
よいという鷹揚さが昔はあったし、その人特有の文体や用字の癖がまた面白いのだ。
」      【「そぞろ書きⅩⅢ」むかしむかし―幼かった姉弟の思い出―
           著者 山本峻 船坂まり 二〇一六年一月十日Ⅰ私家版限定百部】