2ペンスの希望

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勿体陳列半完成品映画

ほぼひと月ぶりの更新。相変わらずのペースで映画は観ている。
一カ月足らずで一五本。新作もあれば、戦前の旧作も。邦画も洋画も。劇映画も記録映画も。当たり前だが、感心したのもアチャーな映画もある。
昨夜は神戸のミニシアターに出掛け、封切りで見逃していた邦画を一本観てきた。
十九時半からの一回上映。六十六席と小ぶりな劇場だがほぼ満席、大学生からカップル、女性二人連れと客席は賑やかだった。映画は三時間。飽きずに観た。とは言え、
丁寧につくっているのに全く響いてくるものがない。三時間のイメージビデオ。
意匠は様々にほどこされ、イマドキの社会事象がソレナリに配されるが、いずれもショーケースにちんまり並べられただけの陳列映画。ドラマはない。いったい誰に向けて、何を見て貰いたくて作っているのか、観客が要るのか(居るのか)正直よく分からなかった。
もっとも、表現・芸術なんてそもそも成熟社会の暇つぶし、思わせぶりで胡散臭いもの。そういってしまえばそのとおり。しかるべきところにさえ置かれれば、「作品」と呼ばれ、上手くいけば「商品」にもなる。けどなぁ、なんだか勿体ない。出来損ないとまではいわないが中途半端。才能はそこそこありそうなのに、半完成品を勿体つけて陳列されてもなぁ。嫌いじゃないけど感心しない。