2ペンスの希望

映画言論活動中です

必須三要素

今日は牧野省三さんの「一スジ二ヌケ三ドウサ」を再再考(最最高)してみたい。
これまで漠然と、重要度の序列 優先順位だと理解してきた。 が、ついこの間、ハタと気が付いた。
もしかして「順序」ではないのではないか。
スジとヌケとドウサはどれもこれもすべて必要不可欠な三要素、
スジもヌケもドウサも三つともに重要、どれ一つ欠けても映画にはならない、
マキノさんはそう言いたかったのではなかろうか。
ドラマはあるか、映像は美しいか、被写体は魅力的か、三拍子揃ってこその映画。
一スジ:シナリオ、ドラマ、物語‥構成、構想、構造‥戦略、設計‥世界観、哲学
二ヌケ:映像、枠、構図、画面、画角、カメラワーク‥フレーミング、カッティング、編集、     リズム、テンポ‥美意識、美学
三ドウサ:役者、演者、登場人物、被写体‥演技、アクション、表情、所作、しぐさ‥
     振る舞い、人となり、人品骨柄

拡大解釈も甚だしいことは百も承知だ。曲解上等。とんでも論とのそしりも甘受しよう。ただ、邦画バブルなんて言葉に浮かれて、見せかけの花盛りの中に痩せ細り立ち枯れていく愚には与したくない。それだけだ。
進化の果ての行き止まり、高度化の末の幼稚化、飽食の飢餓、背骨なき液状化
もっと何でもあり、自由で猥雑でたくましいエネルギ―を回復したい。目も当てられないものより目を見張るもの、魂消るものを。ちんまりより野放図。
日本映画の父と呼ばれてきた牧野省三は、監督であり、製作者であり、脚本家であり、何よりも実業家であった。このことを忘れないほうが良い。