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背反有理2016夏その1

ちょっとした訳ありで、「青少年読書感想文全国コンクール」の2016年夏の課題図書『さかさ町』(小学校中学年の部 岩波書店 2015年12月初版)を読んだ。
いかにも岩波書店ごのみの「ちょっと ひねった文明社会批判」臭が気になるが、得点が少ない方が勝つ「としよリーグ」や「わすれるというのは気づきだ」の小学校「わすれよ科」、買い物のたびにお金が貰えるデパート「アンストアー」等が出てくる。なんだ、これって背反有理じゃん、と思った。ただ、「もし、だらしない人がいて、アンストアーで、ものをもらうだけもらって、はたらかない人がいたら?」という問いに対する答え「社会になにも役だつことをしない人は、おもいばつをうけます。」はいただけない。働かざる者食うべからずでは、「だらしない人」は暮らしにくい。暮らせない。
キリギリスを排除する蟻社会は「難儀を認めない管理社会」だ。「難儀をなくす社会」を目指すのではなく「難儀にやさしい社会」の方がずっと良い。遙かに上等だ。
岩波書店さん、馬脚を現しました。ボロが出ましたね。これじゃお里が知れますよ。
おっと「お里」なんて、ちょっと勇み足かな? 「出自」じゃなく「本性」のつもりなんで‥、そこんとこヨロシク!
注記:
「働かざる者食うべからず」については様々な論議・解釈があろうが、ここでは深入りしない。ただ、小学校中学年向けの本で「ものをぬすんだり、ぼうりょくをふるったりする人、社会になにも役だつことをしない人は、おもいばつをうけます。」とだけで済まされたのでは、たまらない。大人じゃないのだから、もっと慎重に、もっと丁寧に。